第一部.SCMからの教示:理解のために
~なぜSCMで課題は解決しないのか?~
法則は認識の道具にすぎず、構造は意識の対象にすぎない
それらはいずれも、知覚世界を思考するという目的のためにのみ意味をもつ
モーリス・メルロ=ポンティ (1908~61)
ここでは、設定した仮説の前半部分である公正に理解するということを取扱います。
「SCMが現実の課題を解決できずにいることの根本的な原因は、『人間がSCMを公正に理解し』、実践していないことである。」
SCMの課題が一向に解決しないのは実は相当深いところにその原因があるということを実感していただかないことには腹落ちしないだろうという考えのもとに、この後の検討を進めていきたいと思います。
単に表面をなぞるだけでは薄っぺらい理解にしか達することができず課題は解決されないまま残ることになるのではないでしょうか。
1-1-1.そもそも一般的にSCMとは何か?
1-1-2.課題解決を妨げる根本的な原因
1-2-1.超えられない3つの障壁①「時空の壁」:原理的原因
1-2-2.超えられない3つの障壁②「ゼロサムの壁」:構造的原因
1-2-3.超えられない3つの障壁③「既得権の壁」:生物的原因
1-3-1.なぜサプライチェーンは複雑なのか?
1-3-2.形状の静的複雑性
1-3-3.変化の動的複雑性
1-4-1.借物の課題とお仕着せのゴール
1-4-2.矛盾した目標値設定
1-4-3.不公正な評価方法