『SCMの真髄を追い求める旅へ』

〜とあるベテランSCMコンサルタントの独白〜 35年以上の経験を持つSCMコンサルタントがこれまで言わなかった本当のことを語り尽くす!

第三部.SCMからの勧告:展望のために

第三部.SCMからの勧告:展望のために
~今後どう変化するか?~

 

空想の翼で駆け 現実の山野を往かん

 

松本 清張 (1909~92)



小学生の頃に学校の図書館で借りた子ども向けのSF小説を読んで以来、私は国内や海外のSF小説や映画や漫画などに親しんできました。そこに空想の物語として登場していた近未来のことのいくつかが次第に実現してきていると実感しています。

もちろん中には荒唐無稽なおとぎ話やありきたりなあり得ない設定などもありますが、たとえば、核分裂/核融合技術の実用化としての核兵器原発、有人月面探査や無人火星探査、掃除用ロボット、サイバーネットワーク、クローン技術、自分で学ぶ人工知能、など発表当時は夢物語だとされていたことが既に実現していることも多数存在しています。
それに加えてこの先に実現できるという目途が立っている技術などとしては、憧れの空飛ぶ自動車、遺伝子操作や電子信号での神経操作による人間の機能拡張、機械と人間の融合であるサイボーグ、AIを搭載したヒト型ロボットであるヒューマノイド、遺伝的に親を持たない人工生命などでしょうか。
目途すら立っていないものとしては、タイムマシンやワープ航法のような時空の壁を超えることと、恐らくはそれを前提としないと確率的に遭遇しないと思われる地球外知的生命体(ETI)くらいでしょうか。

目途が立ってきているものの中で人間に関係するものはその「倫理性」が問題になっていると言えるでしょう。
現時点では科学技術と倫理のせめぎ合いが起きているように見えますが、長い目で見ればなし崩し的に科学技術が優先されることになり実現の方向に進んでいくことは間違いないと考えています。倫理性は有用性や利便性にはかなわないということは既に歴史が証明しています。
どれがパンドラの箱だったのか見解が分かれるところでしょうが、いずれにしても既に箱は開いてしまって後戻りはできないことに間違いはないのではないかと思います。
それによって、自然環境そのものや生命を含んだ生態系への影響が大きくなり無視できないくらいの大きさになってきています。

この第三部ではSCMに関連して現在すでに現実化し始めている事態から始めて、これまでの人間の歴史の推移からすると近い将来に恐らく現実のものとなるようなこと、それによって人間や社会やSCMがどのような影響を受け変化するのかということについて想像力を働かせてみたいと思います。


3-1章.迫りくる物理的限界と突発的事態

3-1-1.物理的限界とその帰結
3-1-2.SCMの最大のリスクは最初のチャンス
3-1-3.解決策は実現できるか?間に合うか?

3-2章.シンギュラリティ:人間が機械に追い抜かれるとき

3-2-1.機械の得意なことと克服すべきこと
3-2-2.人間と機械のせめぎ合いでの争点
3-2-3.人間に不要となる機能

3-3章.SCMにおける人間の変化(空想)

3-3-1.機械の限界あるいは辞退
3-3-2.人間に残る機能と役割
3-3-3.将来の可能的世界像